この子
告知後の辛すぎる毎日
私が乳がんとわかったのは、人間ドッグを受診した日からちょうど10日目でした。
人間ドッグで精密検査を受けるように言われた時から、不安な気持ちがどーーーんと私の心を支配し、初めての乳腺外科の精密検査でいっぱいいっぱいなところに「がんの告知」という私の人生にはないだろうと思っていた事が10日の間に起こりました。
告知前の不安で張り詰めていた気持ちが告知により、ぷっつんと切れてしまい、しばらくの間は毎日泣いて泣いて泣いて泣いてばかりいました。
がんになった人の経験談で「どうして私が?」と思ったとよくありましたが、私もそうでした。
「どうして私が?」「そんなに悪いことしてないと思うけどな」「何か悪いことしたからバチが当たってるのかな」そんなことばかり毎日考えてしまいました。
夜中にどうしようもない気持ちで押しつぶされそうになることが本当に辛かったです。
何故あれほど辛かったのか。
それは45年(当時46歳でした)ほど、のほほんと何に特化したこともなく平々凡々に生きてきたのに突然「死」という言葉がつきつけられたような気持ちになっていたからなのかもしれません。
もう私は死ぬんだ、と、本気で思っていたのですが、そこで冷静な夫の言葉が印象的でした。
「生きるために治療するんでしょう?」
これ、当たり前のことなんだと思うのですが、私自身はわからなくなっていました。
何のために治療するのかも、よくわからなくなっていたのです。
夫のこの言葉にハッとして前向きに治療へと臨む気持ちになれました。
この子
そして少し前向きになれた乳がん患者は、なかなか忙しくもありました。
私の場合、告知日から手術まで1ヶ月ほどでしたが、手術前検査や入院準備や手続きとやることは沢山でした。
まさに生きていくため、新しい自分になるための準備期間だなと感じました。
入院前にやらなくてはいけなかったこと
病気らしい病気にかかったこともなく、入院は10代の時の虫垂炎(盲腸)の摘出手術以来です。
その時は未成年の学生であったこともあり、お金に関することは全て親がしてくれていたので全くどういう流れなのかはわかっていませんでした。
幸いにも親や兄弟、夫も今まで大病をしたことがなく入院手続きなども経験したことはありません。
入院手続きに関しては、ある程度を病院で説明を受けることができました。
治療費(お金)に関すること
高額療養費制度(こうがくりょうようひせいど)について知る
どうやら日本では、医療費が高額になる場合、国民の年齢や所得によって上限額が決められているということを初めて知りました。
毎月の健康保険料が高いなぁと思っていましたが、こういうところで助けてくれているんですね。
参考 高額療養費制度について厚生労働省ホームページ厚生労働省のホームページより
高額療養費制度について
医療費の家計負担が重くならないよう、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1か月(歴月:1日から末日まで)で上限額を超えた場合、その超えた額を支給する「高額療養費制度」(こうがくりょうようひせいど)があります。
上限額は、年齢や所得に応じて定められており、 いくつかの条件を満たすことにより、負担を更に軽減するしくみも設けられています。
健康保険限度額適用認定証の申請
高額療養費制度について理解はできましたが、この制度は入院費を支払った後に申請をして医療費の上限を超えた金額を戻してもらうものなので、私の今回の入院手術は窓口で支払える医療費とはとても思えませんでした。
そこで知ったのが「健康保険限度額適用認定証」です。
どうやら、この健康保険限度額適用認定証を病院に提出すると、最初から高額療養費制度が適用されて窓口での支払いが上限額までの支払いでよくなるようでした。
もちろんその後の高額療養費制度の申請も必要ありません。
申請は自身の加入している健康保険組合です。
私の場合は夫の扶養者なので、夫の会社の健康保険組合へ夫から申請してもらいました。
申請書を送るとビックリするほど早く認定証が届き驚きました。
色々な人の協力で治療が受けられるのだと、改めて感謝の気持ちになったことを覚えています。
更に加入している健康保険の組合によっては、高額療養費、家族高額療養費などの付加給付がある場合もあるので、
病気や怪我の入院手術がある場合には確認してみると良いと思います。
民間の医療保険会社の担当への連絡
正社員で働いていたOL時代に加入していた生命保険会社の担当さんとは長い付き合いをしていて、その時も医療保険に加入していたので、すぐに連絡をしました。
がん保険には加入していませんでしたが、女性特約(女性特有の病気で入院手術をした場合に降りる保険)をつけていたので、給付金の申請用紙を送ってもらうことにしました。
加入している保険の内容によって、手術が終わってからの診断書で給付金の申請ができるものとがんと診断された内容の診断書で給付金の申請ができるものがあるようでしたが、私の加入していた保険は後者だったので、すぐに病院で診断書を発行手続きをしました。
この2つのことをすることで、治療費に関しては心配がないことができて安心することができました。
余談ですが、最近はテレビCMでも昔の保険に入ったままではありませんか?定期的な見直しを!なんてよく見かけますが、これは本当にその通りだなぁと思います。
私の場合、長いおつきあいの生命保険会社の担当さんの勧めで定期的に保険の見直しをしていました。
正直、見直しのたびに保険料が高くなることもあり、見直しの意味ってあるのかな?と思っていましたが、見直し前の保険と比べると受け取れる給付金も全く異なっていて、見直していて良かったなと思います。
余談ですが、癌保険や癌に関する特約は契約日から3ヶ月がたたないと給付金がおりません。
私は見直し後の4ヶ月後に告知されたので、ギリギリセーフでしたが、もし告知が3ヶ月以内だったかと思うとゾッとします。
健康診断や人間ドックで癌が見つかることも多々とあると思うので、保険の見直しは健康診断の予定日から3ヶ月以上前に済ませたほうが良いのでは?と思いました。
身内への報告
友人や家族への報告もしなくてはいけないことの1つでしたが、これがとても辛かったです。
特に高齢で離れて住む両親への報告は本当に心が痛み、なかなか実行することができませんでした。
どうしても報告するときのシミュレーションをしては涙が出てしまいます。
結局、意を決して両親に伝えたのは入院日の一週間前となりました。
最初は驚いていた両親ですが、とにかく手術をしてきちんと治療を受けなさいとの言葉をもらいました。
やはり長く生きている人生の大先輩ですね。私が思っていた以上に親のほうが落ち着いていました。
手術から数年経ちますが、今でも乳がんの告知を受けて一番辛かったことがこの「親への報告」だっとと感じます。
入院準備
手術日含めて約10日の入院の予定でしたが、入院もしたことの無い私。
出産の経験も無いので、本当に無知です。
ここでも先に乳がんを経験されている方たちが書いていたブログなどを拝見しながら準備を進めました。
この頃は忙しくなり、辛さや悲しみも少しだけ薄れていたように思います。
私はこの時の手術とその後に乳房再建の手術もしているので、入院生活にあって良かったものを別記事でまとめたいと思っています。
手術前検査
大きな手術を受けるのが初めてだったので、この手術前検診も精神的にアップアップでした。
血液検査、尿検査、心電図、肺機能検査、胸部CT検査(造影剤あり)、乳房MR検査、歯科検診
これらの検査を数日に分けて行われました。
特に痛い検査はないのですが、骨シンチとMR検査はじっとしている時間が長く少し辛かったです。
そして何故か歯科検診があってがんに関係ないじゃないか!と、とても嫌だっだのですが、歯科検診が行われる理由は全身麻酔を行う際に管が喉の奥に入るので、グラグラしている歯があると管を抜く際に折れて飲み込んでしまったり、歯が汚れているとばい菌が体内に入りやすく治療に影響が出る可能性を考えて、行われているそうです。
しばらく歯医者に行っていなかった私は、クリニックで歯のクリーニングをしてくるよう言われ、入院前に歯医者さんでクリーニングを行いました。
歯医者嫌いの私ですが、思わぬところで行かなくてはならなくなり、とても憂鬱でした。
これらのことを調べたり行動することで入院前の1ヶ月はあっという間に過ぎていきました。
この後いよいよ入院と手術です!